世界各国の経済・産業・技術情報収集血眼

■銃声のない戦争「A級情報を探せ」

 冷戦の崩壊と一緒に90年代から始まった世界化の流れは、韓国の国家情報機関にも新しい挑戦と機会を付与した。世界化時代の特徴は、世界と地域、そして北朝鮮と対内問題を同時に連係して見なければならない課題を情報機関に抱えさせた。これを契機に、当時の国家安全企画部(現国家情報院)は、国家競争力強化のための海外経済・産業情報及び科学・技術情報収集に目を回し始めた。91年から始まった経済・科学分野碩・博士特別採用も、そのような努力の一環である。

 経済戦の情報目標である「海外経済・産業・技術情報」収集は、今、国家情報機関本然の基本任務中の1つとなった。特に、韓国のような資源貧国は、海外情報収集に総力を傾ける外ない。国情院は、過去、友邦国でのこのような活動を大概「対北諜報収集」という口実で偽装してきた。経済より軍事的安保が優位である時代には、友邦国情報機関も、そのような口実を目をつぶってやった。しかし、冷戦が崩れて以後、世界が熾烈な経済情報戦を行う今は、望めないことである。実際、韓国は、現在、米国とカナダ等の地でいわゆる「産業スパイ国家リスト」に上っているものと知られている。

 国情院は、現在、全世界100余ヶ国の政治・経済・軍事情報を全て収集している。また、250個を越える国情院の海外情報目標中において、経済・科学情報目標は、40個程度であるものと知られている。しかし、1年で収集される数万件の海外情報資料中において、経済・科学情報は、2%を越えることはなく、これすらA・B級は全くなく、90%以上がD級で、1年に30余件だけC級に分類されるという。結局、国情院が100余ヶ国の政治・経済・軍事情報を全て収集したものは、「何もしていないこと」と同じことである。国情院の「百貨店式情報目標」による情報活動が抱えている脆弱性である。

■百貨店式情報活動弱点・・・海外情報90%がD級

 このように、国情院がそれなりに心血を傾ける海外情報資産の質が劣る理由の相当部分は、北朝鮮という存在が備える安保脅威にある。政治・軍事情報価値の減少と経済・科学情報価値の増大という情報環境の変化にも、国家情報機関の「メイン・ロール」(main role)は、対北情報活動でなけらばならないことが国情院の固定観念である。このような理由で、国情院は、我が国が置かれた安保的特殊環境の変化を勘案して、情報力量を適切に配分する余裕を持てないのも過言ではない。そのようなために、「人類諜報史上、最も難しい相手」(米国CIAの表現)という北朝鮮を体系的に窺う国は、韓国と米国のみだという自負心にも拘らず、国情院の対外的位相は、国力に比し、悪く評価されるのが現実である。

 情報機関の活動領域は、大きく情報収集(Collection)、分析(Analysis)、工作(Covert Action;Clandestine Operation)、防諜(Counter-intelligence)の4分野に分けられる。我が国の国家情報機関の場合、この4種類の活動領域が集中した分野が正に対北情報分野である。我々は、俗に対北情報と簡略して呼んでいるが、この中には、情報収集のみならず、分析・工作・防諜活動が全て含まれているのである。特に、北朝鮮は、人類諜報史上、最も難しい相手と認識されてきた。従って、国情院の情報活動対象において、北朝鮮より優先順位を備えた存在は、昔も今もない。海外情報活動でも、同様である。国情院の海外情報活動は、対北情報資産を蓄積することに焦点を合わせてきた。例えば、国情院の「海派」(海外派遣)要員は、駐在国の情勢把握と駐在国情報機関との情報協力という基本的な任務を言っても、駐在国の北朝鮮「海派」要員を監視し、駐在国と北朝鮮の関係を点検し、これを活用して、北朝鮮を窺う要員を派遣するか、国内に迂回浸透するスパイ(間諜)活動に対する防諜任務等を担当しなければならない。この外に、大統領や、VIPが駐在国を訪問すれば、警護にも神経を使わなければならない。これは、国情院が他国の国家情報機関より依然「すべきことが多い」を意味する。国情院の「海派」要員が「スーパーマン」ではないのに、「すべきことが多い」のは、その位、「仕事の質が劣る」ことを意味する。

 情報収集環境の変化に合わせて、情報機関の情報収集と関連した役割と機能も、変わる外ない。対北情報だけ見ても、過去と異なり、金大中政府の「政経分離原則」に従い、各分野で北朝鮮との「接触面」が拡大され、情報量が幾何級数的に増えている。北朝鮮も又、深刻な経済難を嘗めつつ、一時は、海外で活動する貿易一群等、自国人に対する召還令を下すこともあったが、経済難克服に乗り出し、多くの「外貨稼ぎ一群」を送り出している。自然と韓国の多くの企業人・民間団体・マスコミ等と頻繁に接触している。国家の立場から見れば、これは、重要な「情報収集線」である。即ち、過去のように、隠密の諜報収集活動を行う国家情報機関だけが北朝鮮側と「接触線」や、「情報収集線」を維持する時代は、既に過ぎ去り、また、対北情報を独占していた時代も過ぎ去った。

 従って、国情院は、このように各分野で生産される対北情報を組織化する機能を強化する必要がある。例えば、国情院が収集する経済情報、科学・技術情報の中では、個別企業に有用な情報があることもあり、また、個別企業が収集する情報の中には、該当企業には必要ないが、国家的に有用な情報があることもある。従って、国家情報機関は、たとえ多くの時間がかかっても、個別企業と団体、そして言論等が所蔵・死蔵する情報を組織的に編み出し、体系化できる具体的な方法を模索しなければならない。それは、対北情報部門でも、同様である。そのような情報資産を組織化・体系化したとき、国情院は、過去の北朝鮮一辺倒から目を回し、情報力量を適切に配分する余裕を持つことができ、そのようなとき、国情院は、「国家競争力強化」のための「価値ある海外情報」収集と対テロ、国際犯罪、産業機密保護管理等にも力を傾けることができる。

■情報環境急変、業務はそのまま「効率性落後」

 麻薬の拡散と国際的テロの増大、そして「銃声のない経済戦」に対処する国家情報機関の役割は、更に一層複雑化し、任務の効率的遂行も遥かに難しくなっている。ますます世界は広がり、情報機関がすべきことは、多くなったのである。このような新しい危険と役割に効果的に対処するために、国内外情報収集業務の性格を変えなければならないという指摘が高い。国情院の現在の位相は、「過去に比し、情報環境が変わり、国情院の力は、比較できない位落ちたが、任務はそのままだ」(中間幹部S氏)という言葉に良く現れている。「過去には、情報機関に力があったために、情報が集まった。黙っていても、「持って来てくれる情報」が多かった。しかし、今、そのような情報は、検察や、言論よりない」。

 現在、国情院の海外・対北パートで生産する資料は、国外日々情報(対外秘)、海外産業経済情報・週間海外時事情報(国策民間研究所配布)、最近の北韓動向(国防部等に配布)、月間テロ情勢(検察・警察に配布)等がある。その中で、「国外日々情報」は、全世界各地域に派遣した「海派」要員の1日2件の情報報告を分析・要約したものである。しかし、1日2件の日当式業務は、「外信の継ぎ接ぎ」の主犯だという指摘を受ける。

 その点は、国内パートも同様である。1日情報活動制度は、報告のための情報収集、深層情報活動の制約という弊害を産む。このために、I.O.(情報官)の身分が現れている。従って、国情院は、国内外日々情報報告活動は、警察に担当させ、長期活動に入り、情報の質で勝負しなければならないのである。また、業務の専門化のためには、職列と職位だけがあるのみで、職級がないCIAのように管理職と専門職に分け、昇進のために専門性を放棄するか、又は専門性を備えた職員が昇進できず、階級停年に服を脱ぐ弾みに専門性が死蔵されることがあってはならないという指摘である。また、スパイが「銃声のない経済戦」が行われる海外に目を回すためには、何よりも政治権が国情院の「足首」を掴むことが継続されてはならず、国情院も政治介入の誘惑を捨てなければならないという指摘である。

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最終更新日:2003/05/21

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